「艦これ」ブームのきっかけ ~それは轟沈から始まった~
以前、「2014年に流行りそうなもの」として取り上げた「艦隊これくしょん」こと「艦これ」だが、このほど会員数180万人を突破したそうで、人気が衰えている様子は見られない。
とは言え、何故ここまで艦これが注目や人気を集めるようになったか、特にブームの「きっかけ」に関しては知らない人も多いのではないだろうか。
普通、マスコミへの露出がきっかけになったり、特に事件もなくじわじわ口コミで広がって「静かなブーム」と呼ばれるようになったりするものだが、艦これの場合、少々異なる経緯を辿っている。
「きっかけとなる事件」は、去年、2013年の五月末に起きた。ゲームが開始されてまだ二カ月も経っていない時期だ。
当時すでに、「艦これ」は趣味で軍事ものをやっている層(ミリタリーオタク、略してミリオタ)の間では知られ始めており、その中で実在の日本海軍の艦艇を擬人化・美少女した「艦娘」に抵抗のない人々がプレイし始めていたのだが、既に悲劇も起きていた。
ゲーム中での「轟沈」である。
ゲームの設定上、艦娘たちは敵との戦いで受けたダメージが一定の値を超えると「轟沈」する。個体としては完全に失われ、同型艦を一から育てなおすことはできるが、轟沈した艦娘を復活させることはできないのだ。
これもまた、ある意味で艦娘に愛着を生む一因となっており、今に至るまで艦これを巡る阿鼻叫喚がネットで響き渡る一因にもなっている。
さて、2013年の五月末に何が起きたか。
ある漫画家が、自分の艦娘を轟沈させてしまい、気が動転した彼がゲーム内で暴走を始めたのである。
更にその暴走を、ツイッター上で自ら実況中継のようにツイートし始めた。
まだマイナーだった艦これの初期にこの増加数(何しろ2.5倍である)は大きく、またその後、会員数の増加ペースが明らかに上がったことからも、この事件が与えた影響の大きさが伺われる。
ちなみに、2013年の夏休みの時期に会員数は10万人から50万人に増えているが、これはコミケなどの口コミやネット上の評判をもとに広がったと思われ、そもそも既に始めていて広める人がいなければ、ここまで人気を博することはなかっただろう。
また、この事件から興味を持ったが、普段はゲームを始めるような時間が取れず、夏休みに始めてみたという人もいるようだ。
こうしたことからも、この事件が艦これブームの一つのきっかけになったと言えるだろう。
また、ツイッターの爆発的な拡散力がなければ事件はここまで広がらなかっただろうし、ある意味で、ツイッターが引き起こしたブームと言えるかもしれない。