今月末でカムラック創業当初から勤められていた方が退職されます。
退職の理由は、身体の調子があまりよくない事。
今はスタッフのあなたは、はじめ、僕らとともに作業に従事するメンバーでした。
メンバーから職業支援員というスタッフサイドに抜擢され、支援を受ける側から支援を提供する側にまわられたことへの負担は大変大きかったのでしょう。
今でも絶対に忘れられない思い出があります。
まだ、僕が入社して間もなくて、必死で毎日出勤することだけを目標に働いていたころ。
とにかく気分を変えたくて会社の周りを散歩していると、道路の反対側から、あなたが歩いてきました。
その時は、同じ会社の人のような気がする、としか思いませんでしたが、会社に戻ってから散歩について話かけて頂いて、そこから交流が始まりました。
当時の社内のSNSには、こんなやり取りが残っています。
散歩はどうでしたか、といった会話をした後だったかと思います。
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I(僕)2014年4月4日 09:26
昨日は八重桜(だと思いますが見事でした)。背の高い木が多いので、風で葉や花が目線の上から舞い落ちるのは圧巻ですね。
Yさん(あなた)2014年4月4日 10:01
Iさんは意外と?風情がありますね。
自分もいろんな花を見て歩くのが好きです。
今からいい季節になりますね。
I 2014年4月10日 09:37
おはようございます、お昼に都合がよろしければ、東長寺の福岡大仏まで言ってみませんか? お忙しかったら気にせずお断りいただいて構いません〜。Nさんにも声をかけさせていただいています。
Yさん 2014年4月10日 09:48
おはようございます。
どうしても場所がわからないので、よろしくおねがいします。
お昼食べたらいきましょう。
I 2014年4月10日 09:48
ぜひぜひ、よろしくお願いします。楽しみですね
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今まで社会に出たことがなく、人と触れ合うことがとても苦手だったなかで、すごくうれしかったことを覚えています。
そして、道路の向こうからあなたがこちらに歩いてくる景色は、カムラックに入社してからの、最も鮮烈な思い出です。
僕たちは、同じプロジェクトをご一緒していました。
当時の僕たちにその業務は途方もなく困難で、何度も何度も励ましあいながら、一つ一つ乗り越えていきました。
僕がどうにも苦しくて塞いでいるときは、今夜飲みに行こうと声を掛けてくださいました。
会社の近所の焼き鳥屋に行って、二人ともお金がなかったので、串は3本までにしよう、ビールは1杯ずつにしようと決めて、思いを交わしました。
少しずつプロジェクトがうまくいくようになって、一緒に話ができる仲間も増えていってからも、近くのドトールの外に置いてある椅子に陣取り、つまみと発泡酒で節約をしながら、飲み会をしました。
プロジェクトは、うまくいくようになったとはいえ、それでも難しいことに変わりはなく、それぞれが思いを語り、どんな会社になったらいいねとか、この仕事を乗り越えてどんなことをしたいね、と言ったことを何度も話しました。
近くのドトールはあまりよろしくないとのことで、博多駅の屋上で飲んでいたころもありましたね。周りがカップルだらけの中、おっさんだけの飲み会は、かなり地獄絵図でした。
思えば、お店で飲み会を開けるようになった今は、遠いところまできたな、と感慨深いです。
遠くへ二人で飲みに行ったついでに、娘さんの職場で、「お父さんの友達」と紹介してくださったことは、その後の苦い思い出もあって、心に深く深く刺さっています。
やがて、僕はプロジェクトの中で、メンバーの中のリーダーを任せていただくことになりました。
そのころの僕は、スキルのない人を見下して、自分は優秀だと思い込み、自分一人でなんでもできると考えるようになってしまいました。
きっと、そんな僕は、すごく嫌な奴だったでしょう。誰にとっても、あなたにとっても。
その人柄と、メンバーを優しく包んでいたことで、スタッフとなり、生活支援員となったあなたは、そんな私にも、一度も声を荒げたり、強く非難することはありませんでした。
僕が愚痴を言えば、それもわかるよと優しく聞いてくれて、優しく諭してくださっていました。
そこで、素直に忠告を、優しい優しい忠告を聞いていればと、恥ずかしさはつのります。
心の持ちようが改善しないまま、僕は呉服町から県庁へと移動しました。
そこでウェブ作成の仕事をしながら、本当にいろいろなことがあって、いつも、あなたに助けていただいていました。
黙って、愚痴を聞いてくれて、いつも笑顔で、優しく声を掛けてくださいました。
やっと最近になって、さまざまな人の助けをかりて、少しは僕もまともになれたかな、と思えます。
かつての自分の考え方を、態度を生き方を恥じ、なんとか一人前の人間になろうと、日々を過ごしています。
そんななかで、最近はあまり連絡を取っていなかった、あなたが退職されると、わざわざ、いいに来てくださいました。
「Iくんには顔を合わせて言っておこうと思って」。
正直に言えば、今でもあなたと顔を合わせることは恥ずかしいです。
10以上も歳の離れた僕を、友達と呼んでくださった人になんという態度でなんという思い上がった言葉ばかりをはいていたのだろうと。
きっと、もう僕のことなど嫌になっているだろうと、顔を見るたびに思ってしまいます。
今回の退職も、何かができるわけではなかったでしょうけれど、僕がまともだったなら、友達と呼んでくださっていたころの僕だったなら、相談に乗れたんじゃないかと、後悔がつのります。
今、僕が毎日を楽しく、笑いの耐えない中で生きていけるのは、あなたと散歩の途中ですれ違ったおかげです。
いつもいつも、優しくしてくださってありがとうございます。
誰にも平等に思いを寄せてくださってありがとうございます。
メンバーの誰かと気持ちがすれ違ったとき、体調を悪くされるほど悩んでいらっしゃいました。
腰の痛みが激しいメンバーを、わざわざ終業後にマッサージしていらっしゃいました。
どんなときも、メンバーのことを良い方に導こうと、それだけの思いを発していらっしゃいました。
僕もやっと気が付きました。
スキルや能力はその人を図る秤ではなく、真剣に人のことを考え、自分が何をするべきかに悩み、誰かが幸せになるために行動するあなたのような人に、僕はいつかなりたいと。
今日、社長と少しお話をしていて、創業当時のメンバーがあなたがいなくなることで、残り一人になるとつぶやいていました。
とてもとても力不足ですが、あなたの気持ちを少しでも、この先も繋いで行きたいと思っています。
また、今度飲みに行きましょう。
待ち合わせはいつものドトールで。
先にいっぱいビールを飲んで、ゆったりと待っていてください。
上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。