就労継続支援A型及び就労移行支援の「支援」について考える
今日はこの点について考えてみたいと思います。
事業所にもいろんな支援の仕方、どこに軸足を置いているかがあると思います。
ですのでこれが正しいとかあれが悪いとかではなく、カムラックグループの支援とはこういうスタンスですというお話しになります。
ちょっと意見も分かれそうなので「前提」が大事かなと。
就労継続支援A型事業も就労移行支援事業も最終目標は一般就労を目指します。
という事はまず、利用者は一般就労することを目的として入所していることが大前提となります。
(もちろんお医者様やご家族、相談専門員と相談し、今のコンディションなら就労支援のサービスを受けれると判断した上で。)
会社で働くことを目的とし、会社で働くことを想定として訓練するのですから、毎日通えない方はそもそもサービスの利用対象が変わってくるはずです。
A型や移行支援の前に自立支援等のサービスからスタートされるのが良いでしょう。
実際ここ数年、A型事業では利用者の平均勤務時間に応じ事業所の評価を始めました。
一週間に数日しか来なく、来てもすぐ帰ってしまう方の所属する事業所は減算対象となります。
つまりはそういう方は利用対象ではないという国の判断です。
人口や労働人口の減少に伴い、国は一億総活躍という表現で一人でも多く納税者を増やす政策をしています。
私たちのやっている障害者就労支援事業もその一環です。
求められる結果も何十年続いた古くからの障害者支援ではなくなってきています。
本題に戻ります。
就労支援事業にはサービス管理責任者や生活支援員といった「福祉」スタッフが配属されています。
一般企業には基本そんなスタッフはいません。
何回も書きますが、利用者の目的は一般就労です。
ですのでA型や移行支援の利用者が福祉スタッフに依存する様な支援をする様ではいけないと考えています。
確かに利用者のサービス開始時においてはそういう支援が必要な期間もあるかもしれません。
しかしずっとではありません。
私たち支援者は一般企業という福祉ではない世界に利用者を送り込むのがミッションです。
理解のある社会にはなりつつも、またまだお互い環境を整え歩み寄る必要がある状況の最中に。
そう考えると必要とする就労支援、福祉のカタチが自ずと見えてくるのではないでしょうか。
頑張らなくていいのよ。
嫌なら嫌と言っていいのよ。
無理して会社来なくていいのよ。
遅刻の電話毎日してくれてありがとうね。
キツかったらいつでも帰っていいからね。
あなたたちは悪くない。
etc
なんて支援が言えるでしょうか。
そんなことを許して毎月お給料を出してくれる会社があるなら私たちもどんなに楽なことか。
必要以上の声かけやヒアリングもそうです。
一般企業で福祉の人が何回も突然現れては大丈夫?大丈夫?なんて場面あるでしょうか。
それも会議中や真剣に仕事している最中に。
私だって何回も何回も会うたびに大丈夫を連呼されたら自分ってなんかおかしいのかな?って思っちゃいます。
支援どころか訓練や仕事の妨げです。
もちろん必要な時もあるので見極めも大事です。
でもそれが毎日あたり前の光景ではいけないと考えます。
ですのでカムラックのスタッフには極端ではありますがいつもこう言っています。
仕事スタッフは忙しくあれ、福祉スタッフはヒマであれ。
と。
仕事スタッフが忙しいという事は毎月毎日仕事があり外部収入が保たれているという事であり、
福祉スタッフがヒマという事は利用者が皆心身共に健康な状態、もしくは障害と向き合えたコンディションで仕事に励んでいる成果だと考えているからです。
また、仕事スタッフには障害の勉強をするなとも言っています。(実際はある程度勉強するんですが)
これはあまり知りすぎると利用者に何もさせられなくなるからです。
仕事において利用者がこぼれてしまうことも確かにあります。
その際に福祉スタッフが全力で支援するフォーメーションを組んでいます。
ですのでカムラックグループの福祉チームは大変です。
一般企業に就職するという利用者の目的のために一人一人と伴走するんですから。
利用者からすると時には耳障りの悪いことを言わなければいけません。
ボタンのかけ違いもあるでしょう。
嫌われたり恨まれたりするかもしれません。
大変勇気のいる仕事です。
大変リスクの高い仕事にもかかわらず、真摯に勇気を持って利用者と向き合ってくれているスタッフを尊敬し感謝しています。
逆に利用者の標取りばかりしてなんでも許し、なんでも理解者の様に振る舞い、王様の様な支援は利用者の自立には繋がりません。
むしろ自立の妨げとなります。
こんなことをされると一番困りますしカムラックグループの方針とは真逆ですね。
こんなことを書いてしまうと古くからあるスタイルの障害者支援の福祉スタッフはありえないという方も多いかもしれません。
しかしながらそういう支援を受けた方々は今社会で自立できているのでしょうか。
成果を問われなかった時代とは違ってきているんです。
全国に多く就労支援事業所があるなか、多くの方が見学に来られ、メディアに取り上げられカムラックが注目をいただくことになったのもこのスタンスの影響が大きいと考えます。
もちろん一般企業への就労が厳しい障害をおもちの方も当然おられます。
そこに関してはそれぞれの障害や状況に応じた支援事業というのも存在しています。
ここでは一般企業への就職という目的を持った方への支援について私の考え方、カムラックグループの方針を書かせていただきました。
このブログをカムラックグループのスタッフも読むと思います。
スタッフの誰かがカムラックグループの方針と違う支援をしているのであれば勇気を持って違うと言ってもらいたいですし、この文章が支援スタンスに迷った時の理念の様になれたらいいなと思っております。
勇気あるスタッフとチャレンジする利用者に感謝。
上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。