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教師の自分

教師の自分
 
僕は以前、中学校の教師を勤めていたことがあります。教師は精神的に辛いことが多いです。授業を聴かない生徒を、毎日の様に叱りつけなければなりません。今思うと、本当に毎日の様に怒鳴り声を上げていたように思います。でも、生徒は変わらず、授業中におしゃべりを始めます。僕も何度も教師を辞めようかと思いました。
 
一方で、楽しいこともありました。これもおかしなもので出来ない生徒達との心のふれあいでした。授業をする僕を苦しめてくれる一方で、出来ない生徒達は心を和ませてくれました。僕に教師としての自信も与えてくれました。
 
僕が教師として最も尽くしていたことは、授業の分からない生徒にどうやって面白く授業を進めるかということでした。僕は理科の教師だったので、生徒が好む授業は実験を交えた授業でした。僕はいかにして面白い実験を見せるかということばかり考えてました。それは、一つのTV番組がきっかけでした。愛知の理科実験サークルの教師の番組に僕も感銘したので、「実験をやりたい」と思うようになったのです。それから、最初の授業はいつも口から火を噴く火炎放射マンをやっていました。それは、簡単な原理でエタノールというアルコールを口に含んでガスバーナーの炎に向かって噴くというだけのものでしたが、2mに及ぶ火炎放射の様に見えて生徒達はいつも驚いてました。
 
実験を行う楽しい授業というのは、管理教育に対抗する意味があります。教科書だけを使う授業というのは、生徒達にとっても面白くないのです。そして、僕はこの仕事を人生半ばで辞めてしまい、今では後悔していません。一つだけの人生では無くて、むしろ二つの人生を歩めたと思い、納得しています。
 
 
 
 
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