2014年も11月に入り、朝夕は肌寒くなってきました。
11月と言えば、ワイン好きにとってはボジョレー・ヌーヴォーの解禁日。
例年11月の第三木曜日で、今年は11/20となっています。
もともと「今年のワインの出来を確認するために一部を早目に飲む」といった感じの、地元の小さな祭りだったのですが、戦後になって大きくなっていったようです。
特にバブル期以降の日本では、この時期の風物詩的なイベントにまで定着した感があります。
日本でのこの人気には、日本人の初物好きもあるのだろうと思っていますが。
ボジョレーというのはフランスの地名で、ブルゴーニュ地方の南部にあります。
行政上の区画としてはローヌ県も含みますが。
リヨンの北側と言えば分かりやすいかも知れません。
さて、ここで質問です。
ヌーヴォーを探してお店に行ったりネットで見たりすると、その前に冠してある二つの言葉が目につきます。
「ボジョレー」と「ボジョレー・ヴィラージュ」です。
この二つの違い、分かりますか?
一言で言うと、産地が違います。
ボジョレー地方の中で、比較的品質のいいワインを作っている39の村が名乗れるのが「ボジョレー・ヴィラージュ」で、場所としてはこの地方の中でも北部にあります。
その年に出来たブドウで造られた新酒を意味するヌーヴォーでなければ、もっと細かい地区名も名乗れますが。
この付近、色々と細かい規則がありますが、ここではあえて書きません。
なお、ボジョレー地方での赤ワイン用ブドウ品種はガメイのみなので、例えば複数品種のブレンドが多いボルドーに比べて、生産者の個性が出やすいです。
ボジョレー・ヌーヴォーは「高いだけで値段の割に美味しくない」「初心者向け」などと揶揄されることもありますが、そこは年に一度のお祭りなので、割り切って楽しんだ方がいいと思います。
有名な生産者としては「ボジョレーの帝王」ジョルジュ・デュブッフ(企業名にもなっています)がいますが、彼は「ネゴシアン」で、自分ではブドウ畑はあまり持っておらず、他のブドウ農家と契約してそこから買い入れたブドウでヌーヴォーを作っているようです。
この他、ルイ・ジャドやフィリップ・パカレ、ルロワといった、その道では有名な生産者も、ボジョレー・ヌーヴォーを作っています。
基本的に、地理的に近いブルゴーニュワインの生産者が多いです。
これに対し、最近日本でも増えてきたのが「ドメーヌもの」と呼ばれる地元の小規模生産者によるヌーヴォーで、自分の持っている畑で取れたブドウでヌーヴォーを作っています。
ネットでは「ヴィエイユ・ヴィーニュ」といって樹齢40年以上の古木を使ったヌーヴォーが売られていますが、大部分はこのドメーヌものと見られます。
私もここ何年かはヴィエイユ・ヴィーニュのものを多く飲んでいますが、ヌーヴォーと言えばフレッシュで酸味が強いという印象とは異なり、落ち着いたワインです。
さて、ボジョレー・ヌーヴォー、肝腎の今年の出来栄えですが、生産者によってばらつきがあるかもしれません。
夏場の天気は良くなかったそうですが、9月に入って好天が続いたおかげでブドウの熟し方が良くなったそうです。
ただし、雹が降ったので、実よりも梗(実と実をつなぐ部分)の方が目立つブドウもあり、そこから来るエグミをどう予防するかが生産者の腕の見せ所かもしれません。
生産量としては少なめだそうですが、その分だけ成分を凝縮したブドウになっている可能性が高いです。
私は今年もネットでまとめ買いしますが、そろそろ予約は締め切るところもあるので、店頭で現物を見られたら一本、試しに買われてはいかがでしょうか。
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