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全体的な現状をみるとA型事業所をそんなに簡単に潰してはいけないと感じはじめた

昨今の就労継続支援A型事業所の経営破綻、障害者の一斉解雇、不正受給等、なにかと悪い話題ばかりの障害者就労支援サービス事業。
法改正やこれまで以上にチェックを厳しくすることで事業として成り立ってない事業所や、悪質な事業所が淘汰減少していく方向に進み出したかと思います。

一方、そうした事業所を利用していた利用者の行き先は法定雇用率対象企業に向けられてる想定かと。

私も当初、悪質や改善余地のないA型事業所の淘汰はどんどん進んでいいと考えていました。


ただ、ここ最近は簡単に潰してしまうのではなく改善路線です。
もちろん不正受給やただの囲い込みなどの悪質A型は別で。


大きく理由は2つあります。


①淘汰されたA型事業所の利用者の多くは法定雇用率対象企業に就労できるレベルではない。

今回の規制強化は外部収入の有る無しにスポットが当てられています。
そもそも事業所に給付される訓練等給付金は、支援スタッフや訓練費、営業経費、業務に必要な備品、家賃等の販管費に充てるものです。
しかしながら多くの事業所がそれの多くを利用者の給料に使われてきました。
取り締まる側もこの点について知りつつも大目に見ていた歴史があります。
実際に利用者20名ほどの定員で短時間雇用すれば訓練等給付金のみで運用できてしまう仕組みです。
そういった背景により事業所側も外部収入を重視しない傾向に偏ったんだと考えます。

今回それにメスが入っていくわけですが、その流れで淘汰されていくA型事業所というのはとても最低賃金が払える程の外部収入の少ない事業所であり、そこを利用していた方達は仕事をせずとも通うだけでお給料が「もらえる」という感覚を持った方ばかりということになります。
仕事をしていたとしても最低賃金にもならない仕事ばかりをしていた方達です。

でも彼等はそれでいいと思っています。
彼らの常識はそれが「当たり前」なんです。
だって何年もそれでお給料がもらえてたんですから…

そういった方達が今回の件で大量に一般企業に流れ込んだらどういうことが想像できますでしょうか。
私は多くのトラブルを予見します。

・ここでは仕事をさせられる
・この仕事は嫌だ
・前は自習だけで良かった
・ここは福祉のことがわかっていない
・前の事業所は働かなくて良くて私の話を毎日親身になって長時間聞いてくれた
・etc

想像できますか。
この方達はこれで最低賃金以上のお給料をもらえてたんです。
これがこの方達の当たり前なんです。

私だってそれで何年もお金がもらえるならそれが当たり前になってしまいます。
実際他のA型事業所からカムラックに移って来た方々とその常識の違いでトラブルになった経験が私にはあります。

でもこれは彼等が悪いのではありません。
就労支援継続支援事業という制度と認可監査する側、そして参入した多くの事業者が作り上げてしまった実態なんです。

これでは就労する側も受け入れる企業側も良い結果を生むとは考えられません。

ですので行政はチェックを厳しくして簡単に認可を取り下げたり、改善計画を事業者任せにするのではなく、もっと深く改善に関わり、地元の優良企業を巻き込んで地域としての改善策に取り組んでほしいと願います。

外部収入は少ないが、想いの強い事業者もたくさんいると思っています。

あっさりと潰すのではなく、本来の目的のA型事業所に改善した上で今一度利用者の方達の間違った当たり前を本来の当たり前に修正し、企業に送り出すのがA型事業所の使命だと考えます。



②企業に受け入れ体制が整っていない(特に中小企業)

特に中小企業ですが、とてもじゃないが障害者を雇用できる体制は整っていません。
ハード的にもソフト的にもです。

ここに前段で述べた方達が大量に流れ込んで行くと考えてしまうと大変恐ろしく感じます。

仮に良い方がいたとしてもとてもじゃないが送り出せません。


国は企業に雇用を義務付ける前にもっと中小企業に対し障害者雇用の制度作りや教育に投資すべきだと考えます。

そして企業は雇用の前に障害者と一緒に仕事をする機会を作ってみてはいかがでしょうか。
どんな方達がどんな仕事をするか分かったほうが採用し易いですよね。

皆さんのまわりには多くの就労継続支援A型事業所が既に存在しています。
そこにどんどん仕事を出してみませんか。
最初は生産性や品質が悪いかもしれません。
しかし経験や実績を積まなけれ生産性も品質も向上しません。
そういった将来の協業パートナーを育てるという側面も持ちながら地域のA型事業所と接していただけたらなと切に願います。



長くなりましたが、これが今感じている私の思いです。
当然私も日々改善に努めます。


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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