2018年(平成30年)8月1日(水曜日) 第18221号 日刊 6面
福岡市博多区にある株式会社「カムラック」(賀村研社長)は、一般の企業などで就労が困難な障がい者と雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型事業所」として運営を行っている。
A型事業所の数は、全国で約3800を超え、雇用の受け皿として重要な役割を担う。その一方で、厚生労働省の調査では、運営や支援のために国から支給される給付金を障がい者の賃金として利用し、労働の実態や十分な生産がない事業所が約7割に上るなど、深刻な問題に直面している。
賀村社長は「『福祉』の観点のみで、A型事業所の運営を行うのは難しい」と語る。
ITを活用し、プログラミングやウェブデザインなどの業務を行う同社では、全体で約70人の障がい者を雇用し、その8割以上を精神障がい者が占めている。生活指導員など福祉関係の業務は自社の社員が行っているが、障がい者に仕事を教育、支援する技術指導員は、全て社外からIT関係の"プロ"を雇用。
また、仕事の受注に関しては、グループ会社の「else if(エルスイフ)」が行い、難易度などによって業務の振り分けを行うことで、請け負うことのできる仕事の幅を広げている。
現在、同社では生産活動による外部収入で障がい者の賃金を支払うことが可能で、A型事業所として健全な運営が実現している。賀村社長は「企業としてのスタートが、障がい者を『戦力』としてITの分野で雇用できないかというところだった」と強調。「あらゆる分野に障がい者雇用のニーズはある。
そのような可能性を開くことで、A型事業所の再生はできるのではないか」と語っていた。
公明新聞掲載許可済み
上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。