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【相談支援専門員ブログ】就労支援事業所における5つの課題

就労支援事業所における課題を5つあげてみます。

 1、プロ目線の弊害

専門性が高い程決めつけてしまう傾向があります。本来、「個別支援計画」を個々に作成して、支援内容を1年、半年、3ヶ月と見直しを行っていくことになっているが、そのための情報収集(アセスメント)の段階で、計画相談支援員から、もらった情報を丸写ししているところも多いのではないでしょうか。


構造上、就労支援事業所よりも計画相談支援員の方が上位にいる形になっているが、新たに「就労選択支援」サービスが設置されるように、重度の身体介護などサービスの種類が多岐にわたる計画相談支援員は、福祉分野においては、知識は多くても、福祉分野に比べ、就労分野に関しては、専門性は低い。また、利用者は訓練を受けることで、成長した点もあるだろうし、障害や家族や親しい人との人間関係などにより状態が悪化している可能性もある「今」の状況は、入所時期と違うのが当たり前である。


就労支援が「ノーマライゼーション(健常者と同等の当たり前の生活)」を目標とするならば「障がい者」=「社会的弱者」という「決めつけ」を支援者が行うことで、可能性を潰してしまうのでは支援事業所の意義が問われるのではないでしょうか。

 

2、提供する仕事と支援

世の中には、仕事は多岐にわたり、ハローワークの職種のカテゴリでも大項目だけで14種類ある。しかし、就労継続支援の職種って、似たような仕事が多い気がする。それを沢山の事業所で取り合えば、売上は上がらないだろうし、そもそも仕事が無い事業所も出てくる。


もちろん、そもそもとして、利用者の能力が問われるので、どの職種でもできるわけでもないし、事業所の開所の申請時に「収支計画書」で事業所の仕事の方向は出しているのもあるが、それを知って利用者が応募してくるだろうから、ある程度の戦力は期待できるはずであるが、面接時に本人で言っていた能力が現場レベルに達していなかったり、能力は十二分にあっても、通所が不安定だったりして、戦力として計算できないこともあるかとは思うが、それも踏まえて、今の利用者の戦力で何の仕事をしてもらえるかを考えるのは、事業所に問われるところであり、利用者がその作業ができない時に、その原因を探り、訓練や指導、相談などにより、作業に関われるようにしていくことが、現場の職員の「支援」である。


しかし、就労支援事業所に通所していても、ずっとパソコンの練習をしているだけの人がいたりする。訓練は必要だが、その訓練の目的、ゴールが、本人に伝わっていなかったり、そもそも職員が係わっていなかったりすることもある。特に、就労継続支援事業所は、「働く」場所であり、「訓練だけを延々としている」としたら、計画の見直しが出来ていないと言っているに等しい。

 

 3、居場所としての就労支援

上記で述べたように、利用者の状況は変わり続ける。それは、サービスの枠を超えることがあっても、当然である。しかし、例えば、就労継続支援B型に通所して、ずっとサービスが変わらない人は多い。もちろん、そのサービスが、その利用者に最適である場合もあるが、「働けていない」利用者を受け入れ続けることは、「支援」とは言わないと思います。


就労継続支援B型であっても、訓練等給付、すなわち訓練を施すことによって事業所は報酬を受け取っているので、定義上は居場所ではありません。就労支援では働けない方についての支援は必要ですが、「就労支援事業所」に、通えない・働けないという方が多いのであれば、就労支援に固執せずに、生活介護・自立訓練・地活等も含めて日中の支援の在り方を検討すべきと思います。

 

 4、レベルアップと支援の工夫

訓練によって何が伸びたのか?問題があるとしても、例えば、「通えるようにするには」、「働く時間を伸ばすためには」、「できる作業種を増やすためには」を考えることは支援そのものであり、その支援・訓練によって伸びた利用者に対して見合う仕事を提供し、継続支援であれば、その成果に値する工賃・賃金を支払い、移行支援であれば、その能力や状況に見合った、実習先や就職先を提供することがサービス事業所の本筋です。

 

5、出来ない理由を探さない

事業所によって、「Come Luckラボ県庁前」のように、月給20万円以上稼いでいる利用者がいるところもあれば、平均工賃が最低時給を割り込んでいる事業所もあります。工賃・賃金の向上・利用者の就職・定着をしているのは、結果行動している事業所です。

「職員のマンパワーが足りない」、「向上や研修に避ける時間が足りない」などの自社の環境を改善しない理由、「採用したのは自分たちなのに、『利用者が働けない』等、訓練所という側面を忘れたかのような理由は、経営や支援の話であるが、これを理由にしている事業所は結果的に動けない・動かないので成果が出ることがありません。  
 


 

プロフィール

冨塚康成(とみづか やすなり)

  • 株式会社カムラック 統括サービス管理責任者
  • 株式会社スーパーカムラック 相談支援事業所カムラック未来 管理者
  • 株式会社 スーパーカムラック 執行役員
  • 一般社団法人介護事業者連盟 障害福祉事業部会 全国 就労支援あり方委員会 委員
  • 訪問型職場適応援助者

 
1968年生まれ、福岡県出身、高知大学理学部卒業。大学卒業後、大手流通グループに入社。情報システムを担当。ITについて学ぶが阪神大震災を期に鬱になり半年で復帰も九州事業所に異動後、退職。その後福岡の大学・専門学校で講師として教鞭を取る。講師契約満了後、縁あって特別養護老人ホーム関連事業所でヘルパーとして働き、高齢者介護での福祉の理想と現実との温度差と挫折を学ぶ。
 
経験を積み、2015年に介護福祉士取得。障害者自立支援の理想の形を求めて株式会社カムラックに入社し、障害者就労継続支援事業A型での統括サービス管理責任者となる。訪問型職場適応援助者、相談支援員の資格取得を通して、ハイレベルの障害者雇用支援を中心に、障害児支援・障がい者福祉事業者支援等障害者の自立に向けた社会との入り口と出口でのサポートに奮闘中。

 

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