トップ  > 相談支援専門員のブログ (カムラック未来)  > 【相談支援専門員ブログ】事業所の考えと利用者の考えのギャップについて

【相談支援専門員ブログ】事業所の考えと利用者の考えのギャップについて

事業所の考える「ニーズ(利用者の希望実現に『必要である』と認識していること)と利用者本人の「ウォンツ(利用者本人の希望)」のギャップについてお話しします。

 

就労支援サービスを利用する理由

利用者が就労支援サービス利用を希望するのは、「経済的不安の解消」や「社会への所属意識の充足」が大きな理由だと思います。ただそれだけの話であれば、ハローワークに行き、希望の職種や条件に合う会社を探して、就職すればいい。技術が足りていないならば、専門学校やハローワークでの職業訓練などを利用すれば良い。


しかし、お金に余裕が内などの理由もあるが、障害がある利用者にとって「それ」を選べない理由が「体調が安定しない」という問題です。 就労支援事業所は、仕事の提供や就労の支援とともに、「体調の安定」などの「就労準備性」についての相談や訓練の支援を行うところと言えます。ですので、就労支援のサービスは、必ずしも利用者の希望とイコールではないため、ギャップは生じます。
 

通所の理由は時間と共に変わることがある

利用者も、通所開始時から利用するに当たって、「ウォンツ」は変わっていきます。通所開始前は、より多くの収入を求めていたり、将来的な一般就労を目指していたりしていても、途中で障害者年金が入ってきたり、周りの利用者が、同じような収入で長く通所していたりすると、より長く、安定して通所することが、収入増よりも多くなってきます。人は良くも悪くも環境に慣れてきてしまいますし、自分の努力というコストに見合う、結果という利益が見えないと、今の状況を保つほうが、安全とおもえてくるのは生き物として当然なことかと思います。

 

逆にも慣れというものは作用します。当初は、収入を得たことや、就労継続支援B型からA型へ変えたときに喜びを得たとしても、慣れてくることで、今までだったら考えなかったことにも欲が出てくるでしょうし、環境が変わることで、今のままでいることに関しての不安だったり焦りが出る方も出てきます。「隣の芝生は青い」ものですから、「ここを辞めたら今の不満は無くなる」といことだけに目が行き新しい環境でも新たなストレスを感じるかもしれないという当たり前のことが浮かばなかったり、軽視され軽はずみな判断をしたことで、後悔することになった事例も少なからずあります。

 

「居場所づくり」から「生きがいづくり」へ

ちなみに、就労継続支援B型の通所当初のウォンツは「居場所づくり」であることは実は多い。でも、就労継続支援の本来のあり方を考えると問題だと思います。これは、事業所や法人の考え方に問題があり、集客の際に、人を集めたいのもあって、「甘いこと」「楽なこと」をうたう事業所があること、計画相談支援などの相談機関が、就労継続支援B型についての機能を「居場所づくり」の場所として提示しているなどの理由があるかもしれません。

 

ただ、利用者は慣れていくことで、変わっていくものです。最初は「居場所」を求めていても、安心を得られたら、「生きがい」や「やりがい」を求めるようになる人も多いです。だからこそ、就労支援事業所のスタッフや計画相談支援員の関わり方は重要で、リスクヘッジを意識しない、「冒険的な判断」に関しては、「保険」だったり、段階を踏むなどの助言をすべきです。本人の要望を無視するのは違いますが、本人の要望を叶えるためにも、必要な状況やスキルの向上が必要なことは伝えなくてはいけません。


就労選択支援というサービスが新しく開設され、それまで就労支援施設や計画相談支援が苦手としていた「就労」部分における利用者の希望と、健康状態、作業スキル、一般企業や就労支援施設での仕事内容などを考慮して、申請時と更新時に意見を伝える役割を担うとすれば、就労支援施設は、利用者の「ウォンツ」と「ニーズ」のギャップに対する支援がやりやすくなるのではと期待するところです。

 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

総合案内

〒 812-0044

福岡市博多区千代4丁目1-33 西鉄千代県庁口ビル1F

TEL:092-980-1050