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【相談専門支援員のブログ】障がい者就労継続支援A型事業所廃止の背景

障がい者就労継続支援A型事業所が、令和6年3月~7月までに全国329カ所の事業所が閉鎖となり、働いていた障害者の方が少なくとも5,000人以上は解雇・退所を余儀なくされています。そのうち約4割強の事業所は最低賃金が反映されないB型事業所に移行したと報道されていました。

 

原因は報酬額の改定ではない

令和6年度に実施された障害福祉サービス等報酬改定により連続で生産活動収支がマイナスの就労支援A型事業所は、-10点~-20点と評価され、基本報酬が減少することで廃止に追い込まれているようです。このことにより厚生労働省の決定を非難する声も聞かれますが、私は必ずしもそうは思いません。


就労継続支援A型は社会的自立を目指し雇用しながら訓練をするサービスであり障害者年金等の直接な経済支援ではありません。一般企業でも対価として「最低賃金相当」の仕事をすることが、雇用して働くということであり、そのための仕事の提供や仕事への指導は、事業所がやるべきことであり、事業所申請において、事業計画などを提出しているはずです。それを踏まえると、就労支援A型事業所に質の高い支援員や職業指導員の確保は重要といえます。

 

事業所の運営体制

障がい福祉サービス事業所のうち職員の充足状況について「不足している」と答えた事業所は52.6%。例えば、IT業務をうたっていても幅広い仕事があり、仕事においてのお客様も複数いる場合があります。利用者の仕事のスキルにも濃淡があり、人員配置ぎりぎりの職員では対応しきれない面があります。


結果サービスの質の低下や既存職員の負担増加に繋がり事業所の運営に深刻な影響を与えかねません。職員の配置がコストとして大きいのですが、専門知識を持つ人材の育成は時間とコストがかかり、育成を考え、余剰で人員を抱えるのは大変な負担があります。

 

また、高単価の仕事をこなすためには、心身の健康状態が安定していて、かつ高いスキルを持ち、一般就労するには課題を抱えている障がい者という何重の縛りが必要であり、運営費においては、利用者の利用延べ人数が影響するため、仕事での売上がある程度あっても、利用者の稼働率が低ければ、実質、運営費が捻出できません。利用者が集まらないことは、事業所の収入減少に直結します。
 

A型事業所の多くが定員に達していない

業務内容の見直しは、就労支援A型事業所の生産性向上と利用者満足度、人材不足の改善につながる重要な施策です。生産活動の収支を黒字化するには、販売する製品やサービスの単価を従来よりも引き上げた高単価商品の開発が求められます。
 

例えば、パソコンを使った仕事で言えば、データ入力は単価が低く、専用ソフトを使用したデザインやプログラム作成などの難易度が高い仕事が単価が高いため、望まれます。また、比較的軽易な仕事であれば、作業工程の効率化やマニュアル化することで多くの利益を生み出すことにつながります。


今回のA型事業所の廃業によって、形態をB型事業所へ移行した法人も多いとは聞いております。B型事業所は、A型と比較して、最低賃金支払いの義務がないため、利用者に支払うコストを軽減でき生産活動を黒字化しやすい面はありますが、給付金の額も利用者に支払う工賃の額により決まる事もあり売上という面の重要度は変わりませんし、利用者も10万円前後の給与が2万円近くの工賃に変わるので経済状況に影響を受けるので、そのままサービスのみ変更というわけにはいかないと思います。


事業所の特色や強みを明確に打ち出し、売上を確保できる体制を整え、支援に合った利用者の受入れを行うことが必要だと思います。
 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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